③免疫力をUPさせる物質

様式C-19

科学研究費助成事業研究成果報告書

平成25年6月12日現在


機関番号:32425
研究種目:基盤研究(C)
研究期間:2010~2012
課題番号:22590004
研究課題名(和文)消化管免疫応答を制御する冬虫夏草属菌由来の高分子アジュバントに関する研究                    
研究課題名(英文)Identification of active ingredients of culture fluid from entomogenous fungi that modulate ileal immune responses in murine Peyer’s patch cells.
研究代表者 高野 文英 (TAKANO FUMIHIDE) 日本薬科大学・薬学部・准教授
研究者番号:20236251


研究成果の概要(和文):研究代表者は研究機期間内に、冬虫夏草属菌が産生する消化管免疫調節物質の構成成分を明らかにする研究を行った。その結果、ハナサナギタケ培養物に強い免疫調節活性があり、精製の結果、糖タンパクであることが判明し、詳細な解析の結果、ペプチドは8種類のアミノ酸、糖はβ(1→3)グルカンから構成されることが分かった。さらに詳細な構造解析の結果、免疫賦活化高分子は多糖とペプチドの混合物であった。また、冬虫夏草属菌を用いた機能性食品等に配合されるプロアントシアニジンやニンニクについても経口免疫アジュバント活性を調べたところ、強い活性を示すことを明らかにすることができた。


研究成果の概要(英文):The culture fluid of entomogenous fungi including genus Paecilomyces and Cordyceps promotes ileal immune responses in murine Peyer’s patch cells ex vivo, and their constituents were identified as glycoprotein, molecular mass was up to 17 kD, containing 8 amino acids and β(1→3)glucan. The detail analyses of chemical structures of glycoprotein revealed that the glycoprotein was mixture of peptides (approximately 70% glucans and 25% peptides including amino acids monomer). Proanthocyanidins, stilbenoids or garlic extract, which are frequently used as health foods of entomogenous fungi, also showed a potentiating activity on ileal immune responses. These data suggested that some entomogenous fungi and the mixture of glucan and peptides have an adjuvant activity.


「小腸のパイエル板を刺激して免疫力をアップさせる(免疫アジュバンド)の正体は、

アミノ酸と②多糖のβ‐グルカンと③単糖が混ざった糖タンパク質でした。
多糖のβ(1→3)とβ(1→4)およびβ(1→6)グルカンの混ざりがメインとなります。
アミノ酸は、グルタミン酸、プロリン、ロイシン、セリン、アラニン、アスパラギン酸、フェニルアラニンとごく微量のチロシンの8種類。

単糖は、グルコース、マンノース、アロース、ガラクトースの4種類です。
ペプチドと多糖の複合体のみが免疫力アップに効いていて、その割合は3:7です。
ペプチドのみでも効かないし、多糖のみでも効きません。単糖は無しでも働きます。抜いても大丈夫です。
ハナサナギタケの活性の強さを判断する際、β(1→3)グルカンとβ(1→6)グルカンの割合やペプチドと多糖の割合が参考になりそうです。
β‐グルカンは一過性のものなので、ハナサナギタケの持続性を考えたとき、説明がつきません。他に知られてない特殊な多糖とペプチドの組み合わせが存在する可能性があります。今年はこれらに島野康子(金沢大学)さんのオニゲナ(ホネタケ)のデータを補足して論文にし、科学誌に投稿する予定です」


2014年1月10日 高野文英さんのお話より